近年、病気の原因となる遺伝子が多数発見され、責任遺伝子・蛋白に基づいた分類もなされるようになってきました。これにより、同じ遺伝子に変異が起こっても異なる病型を示す場合(表現型多様性といいます)や、異なる 遺伝子の変異 でも似通った症状を示す場合(遺伝的多様性といいます)が存在することが分かってきました。一方、現在も責任遺伝子が 同定 されていない分類不能な疾患も多く存在します(これらの多くは肢帯型・ 先天性 に分類されます)。今後責任遺伝子の解明が進むと筋ジストロフィーの分類方法も見直される可能性があります。
本邦全体における筋ジストロフィーの患者数について正確な統計はありません。特に運動機能が軽症な方は受診率が低いため把握が困難です。地域医療機関で患者数調査が行われている秋田県・長野県・鹿児島県のデータや過去の調査、海外の文献等を参考にすると、筋ジストロフィーの 有病率 は人口10万人当たり17-20人程度(ジストロフィン異常症:4-5人、肢帯型:1.5-2.0人、先天性:0.4-0.8人、顔面肩甲上腕型:2人、筋強直性:9-10人、エメリー・ドライフス型:0.1人未満、眼咽頭筋型:0.1人未満)程度と推測されます。
ここれまでに見つかった筋ジストロフィーの責任遺伝子の機能には、細胞膜に関連するもの、細胞の外側に存在する基底膜に関連するもの、筋線維の収縮・弛緩に関与するサルコメアに関連するもの、タンパク質の糖修飾に関連するもの、核膜に関連するもの、など多様なものがあります。 遺伝子の変異 から細胞の機能障害に至る過程までは疾患ごとの特異性が高いですが、筋肉が 変性 壊死を生じて以後の過程は共通性が高いため臨床症状は類似した形となります。筋ジストロフィーの研究は、責任遺伝子を 同定 し、責任遺伝子・タンパク質の機能を明らかにすること、変異によってどのような障害を来すか解明することにより進んできています。
疾患の原因となる遺伝子変異は、親の世代から引き継がれる場合と、突然変異によって新しく生じる場合があります。例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは、本邦の患者様の4割は突然変異によって生じていることが報告されています。
出典:難病情報センター