発音の誤りがある子どもは、相手に話の内容が分かってもらえないことが多く、進んで話そうとする意欲が育ちにくい状況にあります。災害時においても、指導や支援の際には、子どもの発音だけに頼るのではなく何を話したいのかに注目し、必要に応じて絵や図を活用して確認しながら、話の内容を最後まで聞き取るようにすることが大切です。その際、発音の誤りに気づいても、訂正したり、言い直しをさせたりしないようにします。
吃音の子どもは、会話に対する心理的負担を日常的に感じています。災害発生時のような緊張感、切迫感のある状況では、さらに言葉が出づらくなります。緊急事態において、必要な返事がすぐに返ってこない場合、言葉だけに頼らず、筆談や空書で返事ができるよう配慮してください。また、うなずきや首ふりで返答できる質問をする、言葉が出るまでゆっくり待つなどの配慮をすることも大切です。
言語発達の遅れのある子どもは、周囲の人が説明していることを的確に理解したり、自分の思っていることを的確に言葉で伝えることが難しい状況にあります。災害時においても、子どもに話す際には、こちらに注意が向いたことを確認してから、短い文で具体的に伝えたり、伝わらなかったときは、もう一度丁寧に繰り返したり、文字や図、絵、動作等を用いて伝えたりしてください。子どもの話の内容が分かりにくい場合には、話の内容を推察し、言葉だけでなく文字や図、絵、動作等で示すなどして丁寧に確認することが必要です。
言語障害のある子どもは、普段から周囲の人に話の内容が分かってもらえず引け目を感じたり、友達が話しかけてくれても言葉が出てこないために返事ができなかったり、会話がうまく成立しないため心理的に不安定になったりすることがあります。このような不安や緊張が重なり、自分はダメだと思ってしまったり、周囲とのコミュニケーションをあきらめてしまったりする子どももいます。言語障害のある子どもは、避難所等の慣れない場所では、自分から周囲とコミュニケーションをとろうとすることが少ないかもしれませんが、本人の良いところや得意なことを大切にして関わり、社会性の発達や自己肯定感の育ちを損なわないよう配慮してください。
災害時には、誰しも不安や緊張が高い状況下に置かれます。ここで生じる不快な感情は、頭で考えても収まりませんが、言葉で少しでも表現できると、それに振り回されずにすむようになっていきます。言語障害のある子どもは、話すことへの不安などで、日頃からおとなしく、困っていても、周囲の人には伝えないことがしばしばみられます。そこで、こういった子どもが不快な感情を示したときには、周囲の大人が共感的に「気持ちがわかるよ」「心配だよね」としっかり受け止めます。この様なことを通して、不快な感情を表現するための言葉を教えるように配慮することが大切です。