50%ダウン症児

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ダウン症者の子供

ここでは、ダウン症者の子供が、ダウン症になる可能性について、小説形式でお伝えします。結論から言えば、50%の確率で、ダウン症児が生まれると考えています。ただし、あくまで仮説ですが。

 小学校の支援学級の交流会で、障害のことについて、発表する機会を設けた。
 まず、アナが、交流会のメンバーに向けて、
「色々調べたから、報告するね。疑問に思ったところは、すぐに質問して。……前も言ったけど、卵子って、初めは、親からもらった2本の21番染色体があって、それが一旦、4本になって、再び、2本になって、最後に、1本の卵子になる。それが健常の場合ね。でも、そもそも、3本の21番染色体があると、一旦、6本になって、今度は、3本になり、最後に、2本か1本の卵子になるように思うの」
 と、ダウン症者の子供に関する調査報告をした。


(この図は、21番染色体が、二本になった場合)

「1本のがあるなら、健常児が生まれる可能性もあるってこと?」と、カズが、驚いた。 「その通り」 「すごい!」と、カズが、唸った。 「最終的には、2本か1本の卵子ができるので、理論上は、50%の確率で、健常児が生まれるの」  アナが、説明を続けた。 「すごい確率だ」と、カズが、驚いた。 「2本だと流産も多いから、生まれてくる健常児はそれ以上の確率なんだ」 「1本の健常児は、少しだけ、知的障害があるとか?」  カズが、質問した。 「それは、心配ないと思う。1本なら、少なくとも受精卵の段階では、全くの健常だから」 「それ、すごいことだね。未来が開けるというか」 「二卵性双生児なら、ダウン症児と健常児が生まれることだってある」 「ふ〜ん」 「まあ、健常だから、嬉しいということでもないですが」 「6本になるところ、本当?」  カズが、アナに質問した。 「鋭い。そこがネックだね。正常な場合と同じように、4本という可能性も否めない」 「その場合、卵子はどうなるの?」 「3本のうち、2本が4本になって、最後に、1本になるから、元のと一緒になって、これも同じく、2本のと1本の卵子になるんじゃないかな」 「なるほど」 「ただ、通常の細胞分裂のことを考えると、さっき話した6本になる方が正解かな」 「精子も、21番染色体が2本になることがあるの?」 「おそらく」 「へえ〜」 「ま、小学6年生の仮説ですが」  アナが、笑った。 「難しかったけど、合ってるような気がするよ」  カズが、アナを称えた。 「でしょう。なんだか自信が出てきたわ。1本でも2本でも卵子があるなら子供できるっしょ」  アナが、期待に胸を膨らませた。 「ハッハハハハ」  一同、アナのたくましさに、思わず笑いが溢れる。 「前向きなのが一番。愛と笑いを失ってはダメ。いつでも、愛し、笑うの。いいことが待ってるはず」  支援学校の先生が、交流会のメンバーを勇気付けた。  素直なカズが、アナの方を見て、愛おしそうに、にっこり笑った。

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